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8mm自主映画と『Too far away』

1970年代、唯一動画を記録できる手段として、8mmカメラは全盛を極めていました。
テレビの台頭で劇場映画が衰退していく中、映像表現としての8mmによる自主映画は、逆に若者たちを中心に広がりを見せていきました。
それを決定づけたのが1975年3月に発売された8mmカメラの最高峰『FUJICA ZC1000』です。
レンズ交換ができ、72コマ/秒の撮影が可能なこのカメラの登場で、映像表現の幅が劇的に広がりました。
多くの高校・大学に『映画研究部』が作られ、学園祭ではクラスで映画を撮ることがちょっとしたブームになっていました。
そんな中、1977年に『第一回ぴあ展』が開催されます。これがきっかけで8mm映画が映画監督への登竜門となったのです。その後、1981年に『ぴあフィルムフェスティバル』として正式に始まり今日に至ります。

『Too far away』が作られたのが1984年。ちょうど8mm自主映画が最盛期の頃です。
その時代、プロ顔負けの素晴らしい8mm映画がたくさん作られていました。
その中には実際に映画監督になったり映画業界で成功を収めた人も多々います。

一方『Too far away』は1984年12月に、エンドロールもないながらもそれとなく仕上げたあと1度だけ関係者に試写を行いました。
その後、諸般の事情で1度も上映されることもなく押入れの奥にしまわれていました。
2010年に仕事の関係でDV画質でテレシネしましたが、それも一般に公開されることはありませんでした。

それから9年経った2019年の秋、押入れの整理をしていると撮影に関する膨大な資料が見つかりました。
その資料を読み返しているうち「これは一度ちゃんとデジタル化して完成させなくては」と、
そして「当時一緒に作った仲間たちにあの時を懐かしみながらこの映画を観て欲しい」と思うようになりました。

そんなきっかけでデジタル化されたのが、ここに紹介する8mm映画『Too far away』です。
関係者はもちろん当時を知る人も知らない若い人も、8mmフィルム独特の質感や1984年と言う時代感を感じ取ってもらえたらと思います。